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市有形文化財に指定 公図「海軍省御所用地略図」 江田島市所蔵 兵学校移転前 町並み伝える

 江田島市教委は、明治期に作製された公図「海軍省御所用地略図」(市所蔵)を新たに市の有形文化財に指定した。1888(明治21)年に東京・築地から海軍兵学校が移転する前の江田島町中央地区周辺の町並みを今に伝える史料で、「後世に大切に伝えたい」としている。(楠信一)

 公図は移転の用地買収を進める際、海軍省の要請で当時の江田島村が作成したとされる。縦94センチ、横127センチで、移転2年前の86年7月時点の地番などを表示。宅地や田畑が赤や黄に色分けされ、当時の役場や学校、神社、寺などの位置も確認できる。

 江戸時代に埋め立てられた海岸部の農地は細長い区割りとなっており、牛馬を使った作業に適したとみられる。満干潮の間で用水の水位を調整する池「潮間」も設けられ、当時の農作業の実態がうかがえる。

 文化財要請書では、呉市史編さんに携わる広島国際大の千田武志客員教授(75)が「当時の状況を知る貴重な資料。防衛省が所蔵する工事関係資料と比較すれば全体像が分かる」と推奨。市文化財保護委員会の答申を受け、22日の市教育委員会で指定を決めた。市指定の有形文化財は22件目。

 公図は江田島市民センター(江田島町)で保管。レプリカが現在、学びの館(同町)で開かれている教育参考館特別展(28日まで)で展示されている。

(2022年8月24日朝刊掲載)

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