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丸木位里と飯室 広島大生が発信 水墨画体験・マップ作成 調査きっかけ 地域に密着

 広島市安佐北区安佐町飯室出身の水墨画家丸木位里(1901~95年)の魅力発信に、広島大(東広島市)の学生が力を入れている。丸木の功績を調べる2021年からの研究活動の一環。飯室地域を拠点に水墨画制作の体験会を開いたり、作品の所蔵先を記したマップを作成したりしている。(重田広志)

 教育学部造形芸術系コース1~3年11人。今月6日には駅舎カフェRomui(ろむい)で、丸木が描いた竹や梅などの水墨画を色紙に模写するワークショップを開いた。来場者に「位里さんになったつもりで描きましょう」と声をかけ、墨の濃淡やかすれ具合で味わいが出る水墨画の面白さを説明した。

 丸木が妻の俊(とし)(1912~2000年)と合作した全15部の「原爆の図」の概要や生い立ちを紹介するギャラリートークも同日、開催。「龍虎(りゅうこ)図」「松竹梅図」「飛天(ひてん)図」が所蔵される浄国寺、養専寺、正念寺の場所を示したA4判のマップを200部作成し、同カフェに置いた。

 11人のうち3年生4人は昨夏から飯室に入り、住民と寺などを巡って丸木と古里の関わりを調査。伸びやかな筆致が太田川の自然に由来するとの考察などをパネル展示にまとめた。今年は1、2年生7人も活動に加入。秋には丸木に関する講演会を開く予定でいる。

 同カフェの免田洋子代表(62)は「若い発想で高齢化が進む地域を盛り上げてほしい」と期待。3年江村健真(けんしん)さん(20)は「飯室との縁を大切に、位里さんを身近に感じてもらえる企画を打ち出したい」と話している。

(2022年8月24日朝刊掲載)

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