×

ニュース

にぎわい創出 つち音本格化 広島市中央公園 サカスタ外観間近/被爆敷石使う遊歩道

 広島市中央公園(中区)で、再整備が本格化している。2023年3月に、旧市民球場跡地にイベント広場がオープン。北側約500メートルには、24年2月にサッカースタジアムが開業する。二つの集客施設を結ぶ通路も設け、にぎわいづくりへ相乗効果を狙う。(川上裕)

■サッカースタジアム

 市が中央公園広場の西側で2月に着工した、J1サンフレッチェ広島の新たな本拠地となるスタジアム。基礎工事を終え、今は大型クレーン8台がスタンドの骨組みの建設を進める。今秋にはスタンドを覆う屋根の工事が始まり、地上7階建て(延べ約6万7千平方メートル)の本体のおおよその外観が見えてくるという。

 総事業費は約270億9千万円。広島県と市がそれぞれ43億4400万円を負担する予定だが、地元経済界の寄付が約18億円と目標額(10億円)を上回り、県市の負担額が圧縮される可能性がある。ほかに国庫補助金や借金で賄う。東側には広場エリアも設け、24年8月に全面オープンする。

■旧市民球場跡地

 08年まで半世紀にわたり広島東洋カープの本拠地だった旧市民球場跡地には、中央イベント広場「ひろしまゲートパークプラザ」(約6500平方メートル)を中心とする施設ができる。4月に着工し、球場解体後も一部残っていた右翼席を6月に全面撤去。併設の飲食店など8棟の基礎工事が続いている。

 NTT都市開発(東京)を代表とする企業グループが整備と運営を担い、総事業費は約13億円。スケートボードや自転車BMXのジャンプ台など都市型スポーツ向けの施設も造る。

■南北の通路

 紙屋町に近い南側のイベント広場と北側のスタジアムとをつなぐのが、遊歩道とペデストリアンデッキ(歩行者専用橋)だ。市は試合のない日を含め、公園内の南北の回遊性を高めたい考えだ。

 桜並木の遊歩道「ピースプロムナード」はイベント広場の西側に約190メートルを整備。舗装に路面電車の被爆敷石を使う。スタジアムから南に延びる歩行者専用橋は長さ125メートルで、7月下旬に着工した。球場跡地の北側にあるハノーバー庭園は移転せず、舗装を改修する。歩行者専用橋は、広島城のある東側からも長さ230メートルを架ける。

 市スタジアム建設部は「新たな人の流れを生み出し、にぎわいのある開かれた『街なかスタジアム』を実現したい」としている。

■中央図書館

 市は中央図書館の再整備も計画している。JR広島駅前の大型商業施設「エールエールA館」(南区)に移転する方針だが、市議会や市民団体から「議論が不十分」などの反対意見があるため、現地建て替え▽中央公園内での移転▽エールエールA館への移転―の3案の詳細な比較表を作り、本年度内の整備地決定を目指す。

(2022年8月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ