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[NPT再検討会議2022] 最終文書案 交渉は難航 ウクライナ情勢など対立

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議は23日、非公式会合を開き、最終文書案を討議した。核兵器禁止条約や、ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発の扱いで各国の意見が対立したままで、採択に向けた交渉は難航しているもようだ。(ニューヨーク発 小林可奈)

 22日付の最終文書案は、核兵器保有国による「先制不使用」宣言の採用を促す一方、核兵器禁止条約に関し、昨年1月の発効など事実関係のみ記載。非保有国が求めるNPTとの補完関係には触れていない。

 ザポロジエ原発については、委員会の素案にあった、周辺での軍事活動の主体としてロシアを名指しした文言は削除されたが、「ウクライナ当局への管理復活」をロシアに要求。ウクライナの核兵器放棄と引き換えにロシアと米英が安全を保障した1994年の「ブダペスト覚書」を守る重要性も説いている。

 23日の会合は非公開。複数の外交筋によると、ウクライナ情勢や核兵器禁止条約などを巡り、各国・地域がそれぞれの見解を主張。合意点を探る議論は平行線をたどったという。

 報道各社の取材に応じた日本の小笠原一郎軍縮大使は意見の交錯を認めつつ、「最後に何が起こるか分からない」と指摘。日本政府として合意形成に貢献する姿勢を強調した。一方、別の非保有国の代表は取材に「議論になりえていない」と嘆き、厳しい見通しを示した。

 再検討会議は26日の会期末までに、最終文書の合意を目指す。難しくなれば、政治声明や議長報告など別の形の成果文書を模索する可能性がある。

(2022年8月25日朝刊掲載)

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