×

ニュース

大社基地跡の姿 次代に 近く撤去完了 出雲でNPO写真展 「身近な戦争知って」

 民間が取得し宅地などになる旧海軍大社基地跡(出雲市斐川町)の撤去工事がほぼ完了し、基地跡は近く姿を消す。県内最大規模の戦争遺跡だった基地跡の姿を広く知ってもらい、後世に伝えようと、同市のNPO法人「スサノオの風」が同市佐田町のスサノオホールで写真展を開いている。9月4日まで。(高橋良輔)

 基地跡で遊ぶ子どもたち、重機で掘り返される滑走路、コンクリートの隙間から咲く花…。会場には、ここ10年ほど基地跡の写真を撮りためてきた同市の写真家高嶋敏展さん(49)の作品約40枚が並ぶ。

 戦時中、建設作業に子どもも加わったとされる大社基地。当時の子どもの視線を意識して撮られた作品もある。「次々に降りてくる爆撃機に目を見張った」「戦争が悪いとか正しいとか、そんなこと考えたこともなかった」と当時の様子を知る人の証言もパネルで紹介している。

 大社基地は、終戦直前の1945年6月に旧海軍がわずか3カ月で急造した。幅約60メートル、長さ約1500メートルの滑走路を備え、爆撃機や特攻機が駐機した。少なくとも3度、出撃があった記録が残っている。

 跡地(約9万平方メートル)は近年、国有の遊休地の状態が続いていたが、21年2月に民間会社が取得。今年3月に最終的に残っていた滑走路跡(約2万7200平方メートル)のコンクリート撤去を始め、宅地造成工事などが進んでいる。

 写真展では「島根の戦争は、もうとっくに忘れられている」などとする小学生の感想文も掲示してある。高嶋さんは「戦争はいつでも、子どもや弱い立場の人が犠牲になる。島根でも身近に戦争があったことを知ってほしい」と話している。スサノオホールは月曜休館で午前9時~午後5時。無料。

(2022年8月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ