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中電、30キロ圏説明行脚 島根2号機 再稼働へ理解求める対象拡大

 島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)の再稼働手続きに入った中国電力が、原発30キロ圏の島根、鳥取県と両県6市へ連日のように説明を重ねている。福島第1原発事故の後、理解を求める対象が島根県と松江市から2県6市に急拡大したためで、11月22日から2週間で11回。稼働に向け中電は奔走するが、地元には「事故のリスクを考えれば丁寧な説明は当然」との声が目立つ。(樋口浩二)

 4日、中電が米子市のホテルで開いた鳥取県と県議会、米子、境港市向けの説明会。「立地自治体と同じ対応をする」。約70人の議員や防災担当者への説明に先立ち、島根原子力本部の古林行雄本部長は強調した。

 中電は11月21日、再稼働の前提となる安全審査申請の事前了解を島根県と松江市に要請。翌日に審査の対象となる安全工事の説明を始めた。4日までに2県議会や松江、出雲、安来、米子、境港の5市議会などに向け計11回。各回、社員20~10人が対応した。5日の雲南市議会など9日までにも4回あり、5日の溝口善兵衛島根県知事たち首長の原発視察も続く。

 福島の事故を受け、事故に備えるエリアは原発8~10キロから30キロ圏に拡大した。立地自治体の島根県、松江市に加え、鳥取県と5市からも「事故の恐れがある以上、説明は当然」(鳥取県の野川聡統轄監)などと要請が相次ぎ、応じている。

 鳥取県と5市は再稼働手続きを前に、稼働への了解権を中電に要求。その手段として島根県、松江市並みの安全協定の締結を求めたが保留された。稼働を左右する発言権はない。

 4日の説明会では鳥取県議2人が「立地自治体並みの協定を」と迫ったが、中電は「真(しん)摯(し)に対応する」と答え、議論は平行線をたどった。「稼働の議論が本格化するのは安全工事の評価が判明した後」との見方が立地、周辺問わず大勢なだけに、発言権の要求は原子力規制委員会の審査の過程でさらに強まる可能性がある。

 鳥取県と5市は島根県、松江市と違い原発立地に伴う交付金を受け取っていない。「周辺市こそ正論が言える」=雲南市の無職田中繁行さん(62)=との声は根強く、規制委の審査後、一層詳細な説明が中電に求められそうだ。

<中電が島根原発2号機の安全審査を説明した会議>(5日以降の予定も含む。※は中電主催)

11月22日 ※島根県議会・原発30キロ圏2県6市への説明会
   25日  鳥取県防災担当者会議
   29日  松江、出雲市議会
   30日  鳥取県専門家会議
12月 2日  松江、安来、米子市議会
    3日  松江市安全対策協議会
    4日 ※鳥取県議会・県・米子・境港市への説明会、境港市議会
    5日  雲南市議会
    7日  島根県安全対策協議会
    7日  島根県専門家会議
    9日  島根県議会

(2013年12月5日朝刊掲載)

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