×

ニュース

国連の「平和の鐘」レプリカ 広島市に「守る会」寄贈

 米ニューヨークの国連本部にある「平和の鐘」のレプリカを、一般社団法人「国連平和の鐘を守る会」(東京)が25日、広島市に寄贈した。不戦と世界平和を願い、国連に鐘を贈った元愛媛県宇和島市長の中川千代治さん(1905~72年)の遺志を継ぎ、国内外にレプリカを届ける活動の一環。

 平和の鐘は、日本が国連に加盟していなかった54年に中川さんが寄贈。呼びかけに賛同して世界から寄せられた硬貨を溶かして作り、「世界絶対平和萬歳」と記す。国連本部では毎年9月の「国際平和デー」に合わせ、事務総長が鐘を鳴らす行事が開かれている。

 木枠につるしたレプリカは、やはり溶かした硬貨を使い、実物の4分の1の高さ約25センチ、重さ4キロ。この日、中川さんの娘で会の代表の高瀬聖子さん(74)=東京=が広島市役所を訪れ、松井一実市長に届けた。

 高瀬さんは「父は戦争で指揮した部隊の部下全員を失って苦しみ、二度と戦争はいけないとの思いを鐘に込めた」と説明。会はこれまで、ロシアやウクライナの大使館をはじめ大小100以上のレプリカを寄贈しており、「広島でも一人一人が平和を願う象徴にしてほしい」と期待した。

 松井市長は鐘を打ち鳴らし「いい音。音を流せるように考えたい」と感謝した。市は今後、設置場所を検討する。(明知隼二)

(2022年8月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ