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[NPT再検討会議2022] 核禁条約関連の一部削除 最終文書案再改定 交渉大詰め

 米ニューヨークの国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、会期最終日を迎えた。25日に2度改定した最終文書案は核兵器禁止条約について発効などの事実関係の記載を残したが、一部を削除。中国が反対していた兵器用核分裂性物質生産の一時停止を求める項目も除いた。交渉の大詰めに、決裂回避へ、対立点の修正を重ねる事態となった。(ニューヨーク発 小林可奈)

 NPTが核兵器保有を認める五大国の一つのロシアがウクライナに侵攻し、核兵器使用を示唆した中で開かれている今回の会議。2015年の前回から2回続けて最終文書を採択できない事態を避けるため、加盟各国・地域の代表が激しい折衝を続けてきた。

 最終文書案の再改定では、素案段階から明記していた核兵器禁止条約を巡る事実関係の項目で、6月の第1回締約国会議で採択した、禁止条約の意義を含む「宣言」と「行動計画」の文言を削った。禁止条約に否定的な保有国側に配慮した形だ。プルトニウムなどの生産の一時停止の記載は中国が反対したとされ、最終盤で落とした。

 一方、ロシアが不満を持つとみられる、ウクライナの核放棄と引き換えに同国の安全をロシアと米英が保障した「ブダペスト覚書」への言及は残している。

 25日の最初の改定では、保有国による「先制不使用」宣言の採用などを削除した。複数の外交筋によると、同日に非公開であった会合では、核軍縮の進展が不十分だとする非保有国から意見が出た。ウクライナ情勢を巡るやりとりも続いたという。

 26日は午後に全体会合を開く見通し。最終文書案に合意できなければ、政治声明など別の文書を出す余地を残す。

(2022年8月27日朝刊掲載)

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