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[NPT再検討会議2022] 決裂は保有国の傲慢 被爆者団体・NGO 失望や怒り

核禁条約 加盟拡大訴え

 米ニューヨークの国連本部で26日まであった核拡散防止条約(NPT)再検討会議が決裂に終わったのを受け、広島の被爆者7団体や非政府組織(NGO)が29日、相次ぎ記者会見した。核兵器廃絶に向けた具体策を示せないNPT体制に失望や怒りを募らせ、核兵器禁止条約の加盟拡大を訴えた。(明知隼二)

 被爆者7団体は広島市役所で記者会見し、声明を発表した。ウクライナ侵攻を続けるロシアを含む核兵器保有国について「核軍縮の意思がない傲慢(ごうまん)さがあらわになった」と批判。核兵器の使用や威嚇をしないという保有国の宣言や、日本政府による核兵器禁止条約の批准を働きかける方針を強調した。

 広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は「まともな会議にならなかった。核兵器廃絶に特効薬がなく歯がゆい」。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(77)は岸田文雄首相の会議での演説を「禁止条約にも被爆者にも触れずがっかり」と嘆き、署名活動を通じて政府に禁止条約の批准を求める考えを示した。

 一方、核兵器廃絶日本NGO連絡会(東京)はオンラインで会見した。

 広島市の市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)の足立修一代表は「せめて先制不使用の合意くらいはできなかったのか」と憤慨。現地で会議を傍聴した広島女学院高(中区)出身で米国の大学院に通う倉光静都香(しずか)さんは「環境や人種を含め、より大きな社会正義の枠組みから核兵器の問題を捉えるのも大事」と提案した。

 日本被団協(東京)はこの日、声明を発表。「最終文書の不採択にひるまず、核兵器を廃絶し人類の危機を救う」と力を込めた。

(2022年8月30日朝刊掲載)

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