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岩国基地 工費増へ 中四国防衛局 職人不足 積算見直し

 中国四国防衛局は、米海兵隊岩国基地(岩国市)内での建築工事の一部について、通常の単価では工事が行えない可能性があるとして積算単価を見直す。5日に岩国市内で地元業者に説明した。同市周辺では職人不足が深刻で人件費が高騰。本年度の基地内工事でも入札の不調・不成立が相次いでいた。

 離島など特殊事情を除き、中国四国防衛局が通常の単価表に一定の金額を上乗せする形で、予定価格を事実上引き上げるのは初めてという。対応は「当面」だが、本年度内は続け、次年度以降は状況をみて判断する。

 岩国商工会議所建設業部会の会合で同局の福島裕二調達部長が説明した内容などによると、11月1日以降に公告された基地内の建築工事のうち、型枠、鉄筋、左官の3種の施工単価を引き上げる。入札参加業者の見積額を参考に調整し、現時点で同局の積算と2倍近く開きのある実勢価格との差を埋める。

 基地内では10月時点で99件約675億円分の工事が進む。市内業者らによると、型枠工などがまったく足りず昨年は1平方メートル当たり3千円台だった施工単価が現在は5千円台に上がっている。

 中国四国防衛局によると、本年度は10月末までに行った25件の入札のうち7件が不調に終わっている。原因調査のために実施した業者へのアンケートで、型枠など3種の施工単価が、同局の想定と実勢価格の「乖離(かいり)が大きい」との回答が大半を占めたため、積算方法の変更に踏み切った。

 岩国市周辺では、消費税引き上げ前の駆け込み需要が旺盛な半面、艦載機移転に伴う岩国基地内の住宅建設などが急ピッチで進み、職人不足が深刻化している。(堀晋也)

(2013年12月6日朝刊掲載)

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