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被爆直後 医師らの苦闘 原爆資料館で企画展

 被爆直後の救護活動などを紹介する企画展「原爆と医療」が原爆資料館(広島市中区)東館1階で開かれている。医師や看護師たちが自らも傷つきながら被爆者の治療などに努めた様子を、当時の医療記録や写真約140点で伝えている。無料。12日まで。

 展示は「戦時下の医療体制」「混乱のなかの救護活動」など4部で構成する。空襲に備えて市内に待機させられていた医師や看護師の多くが被爆し、医療体制が崩壊した経緯を紹介。それでも救護所などで治療に当たる医師たちの姿を記録した写真や、当時の医師たちが残した手書きの医療記録を展示している。

 日本医療団畑賀病院(現安芸区)の故岩崎祐治医師=当時(42)=は被爆の約1カ月後、負傷者に現れた症状を記録していた。脱毛の項目では「爆撃二週間位(くらい)ヨリ発現」などと記し、未知の症状に手探りで向き合った医師の姿が浮かぶ。

 山陽小野田市の高校非常勤教諭の大上文典さん(65)は「自分自身が恐ろしい状況に置かれていたのに、医師の覚悟を感じます」と見入っていた。(明知隼二)

(2022年9月1日朝刊掲載)

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