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中国での加害記録 次代へ 旧日本兵の帰還者団体など「概史」再編集し出版

 終戦後に中国の戦犯管理所に収容された旧日本軍将兵たちでつくる「山陰中国帰還者連絡会」(8人)などが、加害の記録を再編集した書籍「残してきた風景 私たちが湖北省で犯したこと」を刊行した。同会世話役の難波靖直さん(92)=松江市西津田=は「これで事実を若い人に伝えられる」と喜んでいる。(明知隼二)

 基になった記録は、広島、山口、島根3県の出身者で構成していた陸軍第39師団の将兵12人が、1956年に中国遼寧省の撫順戦犯管理所で書き残した「第三十九師団罪行概史」。39年10月から45年8月の終戦まで、時系列で部隊が関わったとする集落の略奪や殺害などの様子が描かれている。

 「住民たちは必死に逃げ惑うが、銃弾を受け虚空を掴(つか)んでばったり倒れていく」など、仮名遣いは若い人でも読めるように直し、分かりにくい軍隊用語には解説も加えた。

 同管理所に収容された経験を持つ難波さんが、90年ごろに連絡会の全国組織から概史のコピーを入手。99年ごろから編集作業を始めた。2007年からは、帰還者の記憶の継承を目指す有志でつくる「山陰中帰連を受け継ぐあさがおの会」が編集に加わった。

 難波さんは「戦争は侵略ではなかったと言う人がいるが、出版で赤裸々な事実を告発できた」としている。

 A5判、160ページ。千円。千部発行。あさがおの会Tel080(8240)5764。

(2013年12月6日朝刊掲載)

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