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秘密保護法成立 中国地方選出議員の声

 6日深夜に成立した特定秘密保護法。反対の世論が勢いを増し、与野党攻防が激化した中での採決に、中国地方選出の野党議員は一斉に反発した。最大のヤマ場を乗り切った与党議員は安堵(あんど)の表情を浮かべたものの、与党の数の力に頼る場面が目立ったことに、安倍政権の支持率低下を懸念する声が漏れた。

 「法案審議が不十分である上に国会運営もルール無視。憤りを覚える」。参院本会議で反対票を投じた民主党の森本真治氏(参院広島)は強く非難。同党の江田五月氏(参院岡山)は「危険な仕組みができてしまった。情報公開法改正など透明性の高い行政を求める闘いを始める」と強調した。

 強行採決との批判が続く中、与党側はあらためて同法の正当性を強調した。自民党の林芳正農相(参院山口)は6日の記者会見で「決められる政治をと訴えてきた。議論を尽くした上で最終的に採決するのが原則だ」と主張。同党の舞立昇治氏(参院鳥取)は採決後、「国会の混乱も野党の法案に対する誤解が背景にある。政府は今後も国民に説明を尽くす必要がある」と述べた。

 一方、自民党内には高い支持率を維持する安倍政権へのダメージを心配する声も広がった。

 「参院での強行採決は、やはりイメージが悪い」。広島県選出の中堅の衆院議員は顔をしかめる。「強行採決は政権にボディーブローのように効いてくるだろう」。別の若手衆院議員は「衆参のねじれが解消したんだから、どっしり構えればいいのに」と首をひねった。

 2人が思い起こすのは第1次安倍政権時代。憲法改正手続きを定めた国民投票法などで強行採決を連発し、結果的に2007年の参院選の惨敗につながった経緯がある。

 岸田文雄外相(広島1区)は6日の会見で、党国対委員長経験者として審議経過の認識を問われると「政府の一員であり、申し上げるのは控えたい」と言葉を濁した。

 「数の力は使わない方がいい。短い会期に焦り、参院の審議は少し乱暴なところがあった」。閣僚経験がある中国地方選出の自民党幹部はそう認めた。「首相には、もう少し幅広い国民の理解を得る努力が必要だ」(城戸収、坂田茂、藤村潤平)

(2013年12月7日朝刊掲載)

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