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青山クラブ 検討委設置へ 市立美術館・入船山記念館と一体的に活用 

呉市方針 購入4年 結論先送り

 旧海軍ゆかりの施設で広島県呉市が所有する青山クラブ(幸町)と隣接する桜松(おうしょう)館の保存・活用について、新原芳明市長は6日、周辺の市立美術館や入船山記念館を含めた今後の在り方を検討する委員会を、本年度内に設置する方針を示した。活用を想定していた合併特例債は2024年度までの事業が対象だが、市は「23年度中に在り方を決めたい。24年度までの整備は難しい」と説明。結論の先送りで有利な起債ができなければ、市の財政負担が増す可能性がある。(上木崇達)

 市議会定例会の一般質問で答えた。新原市長は、開館40周年を迎えた市立美術館と、旧呉鎮守府司令長官官舎などがある入船山記念館の老朽化を挙げ、「個別ではなく一体的に検討したい。このエリアを文化・芸術施設などの拠点として整備したい」と説明。これまでの「にぎわい・集客施設」としての活用方針を転換した。美術館の建て替えを念頭に、市民や有識者でつくる検討委で話し合う。

 青山クラブは一時、大和ミュージアム(宝町)の資料の収蔵場所として活用できないかを検討したが、ミュージアムリニューアル基本計画策定委員会で「資料は分散しない方がいい」との意見が出たことも説明した。

 新原市長は17年の市長選で、一時は解体する予定だった青山クラブの活用などを訴えて初当選。桜松館を含め、市が18年に国から約2億円で購入した。全施設の保存・活用を基本に21年度の着工を予定していたが、耐震診断で大幅な改修補強が必要とされ、先送りに。市民や建設関連業者たちを対象とした20年のニーズ調査では、カフェや宿泊施設、音楽ホールなどさまざまな活用案が寄せられていた。

 質問した市議は「耐震診断、ニーズ調査の時点で結論を出すべきだった。早く改修しないと雨漏りなどで朽ちる。検討委も(もっと早く)設置するべきだった」と、購入から4年が経過しても結論が出ないことを批判した。

青山クラブと桜松館
 青山クラブは鉄筋3階地下1階の延べ約1万900平方メートル。1903年に旧海軍の集会所として建設され、増改築を経て36年に現在の建物になった。戦後は英連邦軍が駐留し、58年から2017年まで海上自衛隊の厚生施設などに使われた。同時期に建設された桜松館は鉄筋2階地下1階の延べ約1900平方メートル。海自呉音楽隊の練習拠点などに使われていた。

(2022年9月7日朝刊掲載)

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