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戦時下の幼き日 恐怖・苦労一冊に 安佐北区の佐藤さん 引き揚げ体験などつづる

 広島市安佐北区可部東の佐藤如子(ゆくこ)さん(84)が、太平洋戦争の終戦前後の自身の体験談を本にまとめて自費出版した。幼い頃に抱いた戦時下の心情などをつづっている。

 A5判、41ページの「遥(はる)かなる空 紡がれた記憶」。現在の韓国・ソウルで1938年に生まれた佐藤さんが幼少期、上空の戦闘機を探すサーチライトや夜中の空襲警報に恐怖心を覚えた経験を回想。防空壕(ごう)の中で終戦を迎えた後、母の実家がある安佐北区大林地区へ向かうため、釜山で船に乗ろうとした際に多くの日本人が手荷物検査で金銭を没収された話などを紹介した。

 帰国後は広島の方言が理解できず、小学校に途中入学したことから一時期は教科書がない中で学習して苦労したことなども記している。千部印刷し、市内の書店などで販売している。1100円。佐藤さんは「当時の体験を語ることで平和への思いを発信したい」と話している。(重田広志)

(2022年9月7日朝刊掲載)

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