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山口県上関・松江で賛否の声 エネ基本計画の原発ゼロ否定 新増設にも含み

 経済産業省が6日公表したエネルギー基本計画の素案で「重要なベース電源」と位置付けられた原発。民主党政権が認めないとした新増設にも含みを持たせる内容に、中国電力の建設計画がある山口県上関町や松江市で、賛否の声が上がった。

 「政権が代わり、原発ゼロが見直されると信じていた」。上関原発の計画推進を求めてきた町まちづくり連絡協議会の古泉直紀事務局長(55)は素案を歓迎。「誘致に30年以上も費やした地元の望みを一刻も早くかなえてほしい」と求めた。

 上関原発は昨年9月、民主党政権が「新増設はしない」方針を打ち出したことで、計画の推進が極めて難しい状況となった。素案は将来の新増設数を示さないものの、ゼロ目標は否定した。

 「福島第1原発事故による汚染水問題も収束していないのに信じられない」。反対派でつくる上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表(58)は憤った。さらに「政府は脱原発の世論に目を向けるべきだ」と非難の言葉をつないだ。

 中電は工事を進めるために昨年10月、山口県へ公有水面の埋め立て免許の延長を申請した。国のエネルギー政策が定まらないため判断を先送りしている山口県の藤部秀則副知事は「今後、国の分科会で議論されることから、動向を注視していく」とコメントした。

 完成間近の島根原発3号機を抱える松江市。中電が国の安全審査の申請準備を進める中、島根大法文学部の上園昌武教授(43)=環境経済論=は「議論が不十分で不透明」と指摘。「稼働ありきの印象が拭えない。このままでは3号機もスムーズに稼働してしまう」と憂えた。

 一方、原発から約2キロの松江市鹿島町の古浦自治会の亀城幸平会長(63)は「原発ゼロは非現実的。原子力規制委員会のつぶさな点検をクリアすれば地域経済のためにも稼働した方が良い」と話した。

 中電は「資源の少ないわが国における将来を見据えた計画を策定してほしい」とのコメントを出した。

(2013年12月7日朝刊掲載)

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