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情報は誰のもの 秘密保護法成立に中国地方の有権者 活動萎縮する/やりたい放題

 「知る権利はどうなる」「政治は誰のためのもの」―。国民の不安の声を置き去りにしたまま成立した特定秘密保護法。中国地方の有権者は6日、見通せない暮らしへの影響の懸念や、与党の強引な進め方への憤りを募らせた。

 呉市のNPO法人職員山本剛志さん(29)は「秘密の指定範囲が不明瞭なまま。なぜ、こんな法をつくらないといけないのか疑問だ」と語気を強めた。中国電力島根原子力発電所のある松江市の会社員吉田洋平さん(53)は「福島第1原発事故で正しい情報が出されたとは思えない。国に都合の悪い原発の情報が隠されるのでは」との疑いが消えない。

 広島県府中町の会社員弓場則子さん(40)は「市民活動をいたずらに萎縮させる」と今後の影響を恐れる。岩国市の藤村英生さん(64)は「真の情報が隠された戦時中のようになるのではないか」。

 自民党は今夏の参院選の公約で経済対策を前面に押し出したが、同法については明記していなかった。広島市中区の小売業永井亜季さん(43)は「圧勝してやりたい放題。国民のためになっていない」と不信感を募らせる。

 周南市の自営業石川美佐江さん(56)は「審議が拙速。具体的な影響がいまだに分からない。成立後も説明に努めてほしい」と丁寧な対応を求める。

 趣旨には賛同しながらもわだかまりを抱えた有権者も。同県海田町の建設業留川雅一さん(41)は「外国と機密情報をやりとりする上で必要」と理解を示す一方、「役人が秘密指定をチェックするのは無意味」と第三者機関のあり方の再検討を求める。福山市の会社員倉光秀幸さん(31)も「権力者の都合の悪い情報を隠すのは問題だ」と再考を求めた。

 秘密の指定は最長60年で例外もある。中区の藤原牧子さん(66)は「早く秘密が公開されれば、国民が政策の誤りを直せる場合もあるはずだ」とできるだけ指定を早めに解除して公開するよう促した。

(2013年12月7日朝刊掲載)

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