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上関原発推進派が期待 国のエネルギー基本計画見直し 反対派「世論を無視」 山口

 政府が原発の活用方針を明記したエネルギー基本計画の素案を示した6日、中国電力が原発建設計画を進める山口県上関町の計画推進派からは「原発実現の望みが出てきた」との声が相次いだ。一方、反対派は、民主党政権が掲げた「原発ゼロ目標」からの方針転換を「世論を無視している」と憤った。(井上龍太郎)

 福島第1原発事故が起きた2011年3月以降、中電は予定地での準備工事を中断。計画が事実上ストップして既に3年近くを迎えようとしている。

 「仕事を請け負っている地元業者もいた。局面の打開につながれば」と町商工事業協同組合の柏田真一代表理事(38)。中断前は作業員による民宿や商店の利用があったとし、工事再開を期待する。

 反対派は、脱原発ムード後退に警戒を強める。上関原発を建てさせない祝島島民の会の山戸孝事務局次長(36)は「無責任。福島の事故も片付いていないのに、なし崩しで新増設を進めようとしている」と語気を強めた。

 昨年9月、当時の民主党政権は上関原発など着工前の原発について建設を許可しない考えを示した。だが、昨年12月に発足した安倍晋三政権が見直しを表明。それに呼応するように、山本繁太郎知事はことし3月、現場の公有水面の埋め立て免許延長の可否判断を1年程度先送りした。

 原発回帰の流れが見え隠れする中、町は10月、国の原発交付金を充てる農水産物市場と総合文化センターを着工した。福島原発事故後、交付金が見通せないとして建設を先送りしていた施設だ。

 エネルギー基本計画の閣議決定は越年する見通し。柏原重海町長は「国からの連絡もない。判断はそれからだ」と淡々と話した。

(2013年12月7日朝刊掲載)

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