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広島大仏 復興行列再び 奈良から一時帰郷 200人 平和思う

 奈良から一時帰郷している「広島大仏」を迎えて戦後の復興パレードを再現した催しが10日、広島市中区の本通り商店街一帯であった。広島県内の企業経営者たちでつくる実行委員会の企画で、地元の商店主や市民たち約200人が、平和に思いをはせながら練り歩いた。

 アリスガーデンを発着点に実施。参加者は太鼓や笛の音が響く中、台車に載せた大仏をロープで引いて商店街を西へ進んだ。原爆の子の像の前で折り返し、往復約2キロを歩いた。買い物客や観光客が足を止め、写真に収めていた。

 北九州市の歯科医師世良優裕さん(57)は、かつて商店街で家具屋を営み、復興パレードにも参加した祖父の遺影を持って行列に加わった。「広島大仏と祖父に復興を遂げた広島の街を見てもらいながら、一緒に歩けてうれしかった」と喜んでいた。

 高さ2・5メートル、重さ約400キロの大仏は、金箔(きんぱく)を施した木製の阿弥陀如来坐像(ざぞう)。被爆5年後の1950年、原爆ドームそばの西蓮寺に安置される際に復興パレードが開かれ、商店街を運ばれる様子を多くの見物客が見守ったという。大仏は60年ごろから所在不明になったが、2011年に奈良県の極楽寺の大仏が広島大仏と確認された。(浜村満大)

(2022年9月11日朝刊掲載)

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