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社説・コラム

『この人』 サンフランシスコ総領事に就いた 野口泰(のぐちやすし)さん

 米西海岸サンフランシスコにある日本総領事館の総領事に今月、着任した。約50人の職員を束ね、米IT企業が集積するカリフォルニア州シリコンバレーなどに進出する日本企業の創業支援や日系人のサポートを担う。「困っている人のニーズをくみ取りたい」

 気負うことなく「まずは現場を回る」。カリフォルニア州は日本人の初入植から150年の歴史を持ち、領事館が所管する隣のネバダ州も含めて約4万6千人の日系人が暮らす。新型コロナウイルス禍で自粛傾向にあった交流イベントも増えており、「まめに出向いて親睦を深めたい」。

 持ち前のアクティブさは山口市で過ごした中高生時代から。山口高時代は180センチ近い長身を生かしてバスケットボールに汗を流し、京都大進学後も続けるほど熱を入れた。

 隣り合う広島県とも縁が深い。1990年の外務省入省以来、4年余り身を置いた軍備管理軍縮課でたびたび訪れた。課長時代の2014年には当時の岸田文雄外相の下、日豪など核兵器非保有12カ国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)外相会合の広島開催などを支えた。

 現首相の岸田氏が各国の若手職員を被爆地に招くために設けると表明した国連基金の創設に「百聞は一見にしかず」と共鳴。広島、長崎の惨禍を現地で学ぶ人材を米西部からも送り出すため、米政府に働き掛ける構えだ。

 米プロバスケットボールNBAの観戦に加え、世界的に有名なカリフォルニア特産のワインをゆったり味わう日を心待ちにする。妻と2人で赴任。(樋口浩二)

(2022年9月11日朝刊掲載)

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