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原爆症認定 問題点は 広島市中区で広島大名誉教授 「見直し進まず」

 国の原爆症認定制度の問題点を学ぶ講演会が7日、広島市中区の原爆資料館東館であった。有識者の検討会が4日にまとめた最終報告を、広島大の田村和之名誉教授(71)=行政法=が解説し「3年かけても見直し改革は進まなかった」と批判した。

 田村名誉教授は、原爆症認定集団訴訟で国が相次ぎ敗訴したことを踏まえ2010年、厚生労働省が検討会を設置した経緯を説明。認定範囲の拡大を事実上、否定した最終報告に触れ「司法と行政の隔たりを改善する検討会なのに、結論は裁判結果を軽視している。この姿勢を民意が強く批判するべきだ」と強調した。

 厚労省が年内にも具体的な見直し策をまとめることには「与党議員が厚労省をねじ伏せて、正しい判断に導けるかが課題だ」と政治が力を発揮するよう求めた。

 講演会は被爆者支援を続ける「原爆被害者相談員の会」が開き、約50人が参加した。西区のケアマネジャー三宅文枝さん(60)は「国は被爆者の思いや苦しみを正面から受け止めてほしい」と話していた。(加納亜弥)

(2013年12月8日朝刊掲載)

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