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島根原発2号機再稼働問題 松江で安対協 手続き開始に島根県民異論

 中国電力が島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)の再稼働手続きへの了解を県に求めたことを受け、島根県は7日、県民や県議でつくる安全対策協議会(安対協、会長・溝口善兵衛知事)を松江市で開き、中電に説明を求めた。(樋口浩二、秋吉正哉)

再説明の場 知事検討へ

 中電の安全工事や県の住民避難計画への不満から、手続き開始への異論が続出。あらためて住民説明の場を設けるよう求める声も相次ぎ、溝口知事は検討する考えを示した。

 委員や県原子力安全顧問、一般市民の計61人に対して、中電幹部が原子力規制委員会への申請を目指す安全審査の内容を説明。規制委の新規制基準に基づく津波、過酷事故対策などを紹介した。

 これに対し、委員2人は事故時に放射性物質を薄めて排出するフィルター付きベント設備を疑問視。「放射性物質を排出する前提の設備」「誰の了解を得て作動するのか」と追及した。中電島根原子力本部の古林行雄本部長は、規制基準に沿った設備と強調した上で「使用の権限は発電所長にある」と答えた。

 県が策定中の避難計画には「自家用車での避難などできるのか」などと3人が批判。再稼働手続きを認めないよう県に訴えた。安全審査の申請について、県と中電に県民向けの説明会を求める意見も3人から上がった。

 発言した11人のうち、再稼働手続きを容認したのは2人にとどまった。1人は「新基準に基づき専門的立場から審査を受けるのは当然」と述べた。

 終了後、松江市の団体職員舟木明美さん(51)は「再稼働を認める前提の議論に思えた。安全な避難など無理で県は申請を認めないでほしい」。委員で「しまね環境アドバイザー」の石原孝子さん(57)は「住民への説明不足だ」と話した。

 溝口知事は県議会と原発30キロ圏の鳥取県、出雲、雲南、安来、米子、境港の5市の意見を踏まえ、年内に中電へ回答する考え。協議会終了後、県民説明会の開催について「要望の趣旨を確認する」と述べた。

(2013年12月8日朝刊掲載)

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