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ケネディの鐘 再び脚光 長女の駐日大使も来て聞いて 東広島の教会

 1962年にジョン・F・ケネディ米大統領から贈られた鐘が、東広島市西条町の日本福音ルーテル西条教会にある。今も現役。来歴を知る人は少なくなっていたが、長女のキャロライン・ケネディ駐日米大使の着任で再び脚光を浴びている。(新谷枝里子)

 高さ約50センチ、直径約40センチ、重さ45キロ。「U.S.N.」という刻印がある。教会は1度移転しているが、ともに引っ越した。現在は建物の2階に設置してあり、併設の西条ルーテル幼稚園の園児たちが礼拝の前に鳴らしている。「愛の鐘」と呼ばれ、教会と幼稚園のシンボルになっている。

 教会によると、当時赴任していたジョージ・オルソン宣教師が米国に一時帰国した際、礼拝などで使う鐘がないと友人に話した。話を聞いた14歳の少年が「大統領に頼もう」とホワイトハウスに手紙を出したという。

 ケネディ大統領は少年の純粋な思いに心を動かされ、使わなくなった海軍の駆逐艦の鐘を譲ってくれたと伝わっている。日本の航空会社も協力し、ルーテル西条教会に届いた。

 当時幼稚園の保育士だった八本松町の前田直子さん(82)は「多くの方に配慮していただいた。みんなで感動しました」。この一件は教会が地域に受け入れられるきっかけにもなったと振り返る。

 11月にキャロライン大使が来日。教会牧師の鐘ケ江昭洋園長(69)が園児たちに鐘の由来をあらためて話し、大使に訪問をお願いしようと決めた。年長園児が中心となり手紙や絵を準備中。河内綾香ちゃん(6)は「とてもいい音が鳴る。キャロラインさんにも聞いてほしい」、米田有那ちゃん(6)は「お礼を言いたい」と期待する。

 英訳を付け、近く大使館に郵送する。鐘ケ江園長は「また引き合わせていただいたと感謝している。広島訪問の際に立ち寄っていただきたい」と願う。

(2013年12月10日朝刊掲載)

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