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被爆6年前の古地図を復刻 広島の古書店

 被爆の6年前の1939年に発行された広島市街地の番地入りカラー地図を古書店「あき書房」(広島市南区)が復刻した。同店が8年前に復刻した同時期の番地入り地図に比べ、色合いが鮮明なのが特徴。被爆前の街の姿をたどる手掛かりになる。

 金正堂書店(現中区の金正堂)が発行した「番地入大廣島(ひろしま)市街地図」。市中心部の本通り商店街(現中区)辺りを中心に東西約9キロ、南北約6キロのエリアの番地が書かれている。

 地図上の主な官公庁や学校、軍施設などがある場所には「文理科大学」「被服廠(しょう)」などと名称を記載。裏面は広島城など名所を紹介する「広島市中案内」が載っている。

 あき書房を営む石踊一則さん(75)によると、広島市内の戦前の番地入りの市街地図は40年発行のものが最後。その地図を2014年に復刻したが、当時入手できた地図の原本は色があせており、一部の番地が読みにくかった。そのため、同じ時期に発行された状態の良い地図を捜していた。

 今回、39年発行の地図の原本を東京の古書店から入手して復刻。同時に、番地は入っていない40年発行の別の地図も復刻した。

 これまで広島市や呉市などの古い地図16点を復刻してきた石踊さんは「祖父母から聞いた話を確かめようと地図を買い求めに来る人もいる。家族の歴史をたどることなどの役に立てば」と話している。各千部を印刷。各1320円。あき書房☎082(255)1916。(水川恭輔)

(2022年9月19日朝刊掲載)

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