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米給油機の先行移転「辺野古移設のステップに」 岩国市容認に専門家懸念

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)からのKC130空中給油機15機を米海兵隊岩国基地に来夏、移転させるとの政府方針を9日、容認した岩国市。「沖縄の負担軽減」を理由とし、宜野湾市からは歓迎の声が上がった。一方で「岩国が、名護市辺野古への普天間飛行場移設計画の踏み台にされている」との懸念も浮かぶ。(大村隆)

 この日開かれた岩国市議会全員協議会。防衛省職員17人が議場に並んだ。給油機移転後の運用についての質問に、古屋剛地方調整課長は「米軍の運用については把握していない」と繰り返した。

 移設後の訓練については従来通り沖縄県内でも行うと説明。負担軽減につながるのかといった疑問に「(給油機の)拠点が移動することそのものが、負担の軽減につながる」と答えた。

 政府は辺野古への普天間飛行場移設を計画。沖縄県に辺野古沿岸部の埋め立て申請をしており、同県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事は近々、可否判断をするとみられる。来年1月19日には、移設の賛否を争点とした名護市長選の投開票も迫っている。

 福田良彦岩国市長は11月、沖縄を訪れて基地負担の実態を視察。その後の会見では「目に見える形での沖縄の負担軽減の必要性を感じた」と繰り返した。この日の表明を受け、宜野湾市の佐喜真淳市長は「沖縄の基地負担軽減につながるものであり、心から感謝申し上げる」とコメントした。

 給油機移転が、沖縄の負担軽減につながるのか―。軍事評論家の前田哲男さん(埼玉県ふじみ野市)は「普天間の撤去、返還を目指していたのが、基地移設問題にすり替わっている。辺野古への移設では、普天間の負担軽減にはなっても、沖縄の負担軽減にはならない」と切り捨てる。

 沖縄国際大(宜野湾市)の前泊博盛教授(基地経済論)も「移設は沖縄に新しい基地ができ、結果的には負担増だ」。前泊教授は垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの岩国先行搬入を例に、「また岩国は、沖縄の負担増大の踏み台にされようとしている」と警鐘を鳴らす。

(2013年12月10日朝刊掲載)

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