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平和祈る広島の音楽史 明治から現代 楽譜・写真・書籍… 広島の中央図書館で展示

 音楽の視点から広島の歴史をたどる企画展「音楽から伝えるヒロシマ」が、広島市中区の市立中央図書館で開かれている。西洋音楽が普及した明治期から被爆、復興期を経て現代まで、平和への祈りを音楽に込めてきた地域史を中心に振り返る。

 2階のホールを会場に「被爆前の広島の音楽」「原爆をテーマにした音楽作品」「被爆ピアノ」など8テーマを設け、楽譜や写真、書籍、新聞記事を並べる。

 「被爆前―」のコーナーでは、「洋楽普及に大きな役割を果たした」として、1906(明治39)年に発足した広島高等師範学校(現広島大)校友会の付属団体「丁未(ていみ)音楽会」を紹介。講堂での演奏に学生たちが詰め掛けた40年ごろの写真を展示する。

 被爆後、国内外の作曲家らが原爆の惨禍と反核を訴える交響曲や合唱曲を創作し、演奏会が開かれた。本展では、49年にフィンランドで演奏されたエルッキ・アールトネンの交響曲第2番「ヒロシマ」や、同年に作曲家山田耕筰と広島市出身の詩人大木惇夫が作った「ヒロシマ平和都市の歌」など、さまざまな楽譜や関連書籍を集めた。

 今年プロ化50年を迎えた広島交響楽団や、74~93年に開催された「広島平和音楽祭」、2020年に閉店した音楽喫茶ムシカの関連資料もある。「今の私たちと同じように、戦前の市民も音楽を楽しんでいた」と石井淳子主事。地域の音楽史を通し、「戦争や平和を自分ごととして考えるきっかけにしてほしい」と呼びかける。25日まで。(桑島美帆)

(2022年9月17日朝刊掲載)

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