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首相、核なき世界訴えへ 国連演説 安保理改革も提起

 国連総会の一般討論演説が米ニューヨークの国連本部で始まる。岸田文雄首相は20日午後(日本時間21日午前)の演説で、ウクライナに侵攻したロシアを改めて批判。国連安全保障理事会改革に向け、決議案作成へ2024年の交渉開始を訴える。「核兵器のない世界」も呼びかけ、その機運を高める場として来年5月の広島市での先進7カ国首脳会議(G7サミット)をアピールする考えだ。(ニューヨーク発 樋口浩二、東京・口元惇矢)

 国連本部の一般討論演説は新型コロナウイルスの影響で3年ぶり。岸田首相はウクライナ侵攻を「国連憲章の理念と原則を踏みにじる行為だ。国連の信頼性が危機に陥っている」とし、安保理を含めた国連改革を提起。決議案作成の交渉を始める契機として24年の国連未来サミットを挙げ「国連の在り方を幅広く見直す絶好の機会だ」と唱える。

 ロシアが核兵器を脅しに使っていることを指弾。核拡散防止条約(NPT)体制の維持強化のほか、被爆地広島に地盤を置く首相として「核兵器のない世界」への強い意欲を表明。広島サミットを核軍縮・不拡散の呼び水にしたい考えだ。

 ロシアや中国を念頭に、力や威圧による現状変更の試みを認めない姿勢を示し、法の支配は「持続的な成長と健全な国際社会の発展につながる」と指摘。来年1月からの安保理非常任理事国として小さな声にも耳を傾け、法の支配の強化へ行動すると表明する。

 北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と直接向き合う決意を改めて示す。

 首相は台風14号の対応に当たるため19日の出発を延期した。20日午前(日本時間20日夜)、ニューヨークのケネディ国際空港に到着後、トラス英首相ら各国要人との会談を組んでいる。

(2022年9月21日朝刊掲載)

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