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[考 国葬] ドットジェイピー広島第二支部メンバー 徳間将汰さん 恩恵あり 開催していい

 今、あちこちで「国葬はするべきか、するべきでないか」の2極の議論になっている気がするが、この問題に正解はないのではないか。僕は、自分の身に引き寄せて考えてみた。

 僕自身、安倍晋三政権の恩恵を受けたと思っている。「将来、きっと受ける」と言った方が正確かもしれない。アベノミクスによる経済再生や、米国のトランプ前大統領と築いた良好な日米関係は、僕たちの世代がこれから社会人として生きていく中で、間接的に暮らしを支えたり、人生の可能性を広げたりすると感じているからだ。

 「国葬はするべきだ」と積極的に思うわけではなく、当日安倍さんに思いをはせるわけでもないが、開催は許容範囲だと感じる。

 たしかに、安倍元首相の政策や政治手法には負の側面がある。特に参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件では、僕も安倍さんに、もっと真相究明に努めてほしかったと思っている。事件に関係した自民党の総裁として、また、罪に問われた大臣を任命した首相として、責任を問われるのは仕方がない。

 ただ、最も責任を問われるべきなのは金を渡し、受け取った当事者たちだとも思う。負の側面で通算8年8カ月の功績の全てを否定するのではなく、評価するべき点は評価していい。

 国葬が大きな議論となったことで僕自身、初めてその歴史と仕組みを知り、安倍政権の正負両面をあらためて考えた。この問題を入り口に政治に関心を持ち、「自分たちの意見を政治に反映させたい」と感じた若者もいるかもしれない。僕たち若者一人一人が、自分の頭で考えていけたらいい。それはドットジェイピーの活動でも大切にしていること。世論の多数派に引っ張られてなびくことも、自分の意見にかたくなにこだわることもせず、異なる意見を受け入れながら、さらに理解を深めたい。

 その点、岸田文雄首相は、より丁寧なプロセスを踏んで結論を出すべきだった。正解はなく、全国民の考えが一致することもないが、そうしたプロセスこそ民主主義の基本だと思う。(聞き手は教蓮孝匡)

とくま・しょうた
 01年北九州市生まれ。20年広島大法学部入学。政治学を学んでいる。21年から、若者の政治参加を促すNPO法人ドットジェイピー(東京)の広島第二支部で活動。現在は広報担当として、広島県内の大学生たちと共に選挙への関心を高めるイベントの企画や情報発信に取り組む。

(2022年9月21日朝刊掲載)

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