×

ニュース

元アキバ記者が被爆地を再取材 米のコープランドさん

■記者 桑島美帆

 1986年に「アキバ記者」として広島や長崎を取材した米国のフリージャーナリスト、ジョセフ・コープランドさん(60)=ワシントン州=が再び被爆地の取材を始めた。自ら設けたブログに精力的なリポートを掲載している。

 コープランドさんは今回、フルブライト奨学金を得て5月中旬に来日した。これまでに細川浩史さん(81)=広島市中区=や沼田鈴子さん(85)=南区=ら被爆者をインタビューし、北朝鮮の核実験に反発する被爆地の動きも取材した。

 リポートは順次、英文のブログ「ヒロシマ・ストーリーズ」に掲載している。8月下旬まで滞在し、取材を続けるという。

 コープランドさんは1986年8月、米ワシントン州の地方紙記者として「アキバ・プロジェクト」(広島国際文化財団主催)に参加。平和記念式典の様子や被爆者の声を紙面で紹介した。2002年に別の地方紙「シアトル・ポスト・インテリジェンサー」に移籍。今年3月に同紙が新聞発行をやめるまで、論説委員などを務めた。

 「米国では平和問題や核軍縮に読者の関心が薄く、地方紙の報道も少ない」とコープランドさん。「現在の広島は広い視野から平和や核兵器廃絶を求めている。この動きを米国でも広げたい」と意気込んでいる。

 ブログのアドレスは http://www.hiroshimastories.com

アキバ・プロジェクト
 原爆被害の実態を海外に伝えるため、広島国際文化財団が1979年から米国の地方紙記者らを広島、長崎に招いた事業。10年間で計34人の「アキバ記者」が誕生した。事業名は当時、米タフツ大准教授だった秋葉忠利広島市長が企画したことに由来する。

(2009年6月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ