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首相、安保理改革訴え 国連初演説 露を批判 核軍縮決意

 訪米中の岸田文雄首相は20日午後(日本時間21日午前)、国連外交を本格化させた。国連総会の一般討論演説で「核兵器のない世界」への決意を表明。ウクライナに侵攻したロシアを名指しで批判し、安全保障理事会の改革を訴えた。バイデン米大統領との会談を模索し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領との接触も視野に入れる。包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を目指し、初の首脳級会合も開く。(ニューヨーク発 樋口浩二)

 ロシアが核兵器を威嚇に用いたことを「断じて受け入れられない」と強調。8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が決裂したことを振り返り、核なき世界に向け「唯一の戦争被爆国であるという歴史的使命感を持って、現実的な取り組みを進める」と述べた。

 CTBT関連会合でも、来年5月に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)に向け、核軍縮の機運を高めたい考えだ。

 日本の首相による現地演説は3年ぶり。国連総会で北朝鮮を除き国名を挙げて批判するのは珍しく、昨年9月の菅義偉首相(当時)のビデオ演説では名指しの批判は北朝鮮だけだった。

 岸田首相は、機能不全が指摘される国連安保理の改革に向け、2024年をめどに文言ベースでの交渉を開始するよう呼びかけた。

 演説後、英国のトラス新首相と初の日英首脳会談に臨み、対中国での連携など確認。女性の地位向上に取り組む国連組織「UNウィメン」が開く会合などの合間をみて、バイデン大統領との会談に意欲を示す。尹大統領との本格会談については韓国側が接触を図ってきた際には応じる構えだ。

(2022年9月22日朝刊掲載)

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