×

ニュース

復元壁画 アフガン思う 出身のシディキさん 平山美術館訪問

 アフガニスタンの旧タリバン政権下で爆破されたバーミヤンの壁画制作にも使われた鉱物ラピスラズリの売り上げで、同国の首都カブールの貧困地区を支援している貿易会社社長ナジール・アーメッド・シディキさん(40)=神戸市=が21日、同国ゆかりの特別展を開いている平山郁夫美術館(尾道市瀬戸田町)を訪れた。復元された壁画を前に「日本との長い交流や、苦境にあるアフガン国民に思いを寄せてもらえれば」と訴えた。

 カブール生まれのシディキさんは1歳の時、旧ソ連による侵攻の混乱を受けて両親と一緒に日本に逃れ、関西で育った。アフガン政府とつながりがあった父がラピスラズリの貿易を始め、シディキさんが引き継いだという。

 アフガンのラピスラズリは奈良・正倉院の装飾品などに使われ、奈良時代にシルクロードで伝わったとみられる。特別展に展示され、東京芸術大が復元したバーミヤンの石窟の天井壁画でも鮮やかな青が印象的だ。

 壁画や、シルクロードを描いた平山画伯の作品を鑑賞したシディキさんは「侵攻や戦闘でさまざまな文化遺産が破壊された。教育を受けられず、飢餓に見舞われている国民の状況も知ってほしい」と話した。

 特別展「アフガニスタンの未来仏 青の弥勒(みろく)」は、中国新聞備後本社などが主催し、11月27日まで。会期中は無休。入館料は一般1200円、高大生410円、小中生210円。(持田謙二)

(2022年9月22日朝刊掲載)

年別アーカイブ