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こども図書館は移転せず 市長が方針を撤回 広島市再整備計画

 広島市中区の中央公園にある市立中央図書館やこども図書館をJR広島駅前の商業施設エールエールA館(南区)に移す市の計画で、松井一実市長は21日、こども図書館を移転せず、現在地に残す方針を明らかにした。市民意見を踏まえて判断したとしている。中央図書館については現在地か移転か、本年度内に整備地を決める方向に変わりはない。(余村泰樹)

 市議会一般質問で松井市長は、中央図書館などの再整備方針案を巡って寄せられた300件超の市民意見の中に、こども図書館の現在地での存続を望む声が多く含まれ、市議会へも市民の請願が出ていると強調。「市の判断とは大きく異なるが、十分に考慮する必要がある。こども図書館は(中央図書館などの再整備と)切り離す」と述べ、移転方針を撤回した。

 市によると、併設するこども文化科学館のリニューアルに合わせてこども図書館も耐震化し、機能の充実を図る。こども図書館移転後の空きスペースに入る予定だった、近くの文化活動拠点「市青少年センター」は科学館内での機能確保を検討するという。

 移転中止を請願していた市民団体「こども図書館移転問題を考える市民の会」の大上恵子さん(71)=安佐南区=は「現在地は子どもの読書環境に最適なので安心した。中央図書館も残してほしい」と話した。

 市は昨年11月、中央図書館、こども図書館、映像文化ライブラリーをA館に移す方針を表明。8~10階のうち8階の一部約2千平方メートルに、こども図書館の機能を配置する計画だった。市は今後、こども図書館の移転撤回を踏まえ、中央図書館と映像文化ライブラリーの2施設について、現地建て替え▽中央公園内の移転▽A館への移転―の3案を詳細に比較し、整備地決定を目指すことになる。

(2022年9月22日朝刊掲載)

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