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広島市長、渡米断念へ NPT会議 オンラインで調整 知事も

 来年1月に米ニューヨークの国連本部で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議について、広島市の松井一実市長が渡米して参加することを断念する方針を固めたことが10日、分かった。国連が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため非政府組織(NGO)の参加を限定しており、状況の好転が見通せないため。オンラインでの参加に向けた調整を続ける。

 松井市長は世界8千都市以上が加盟する平和首長会議の会長としてNGOの枠で参加を予定していた。副会長の田上富久長崎市長も同様の判断をする見通し。

 国連は11月上旬に発表したNGO向けの資料で、国連本部への入場は現時点で「政府代表と職員に限られる」と明記。NGOの参加は「オンラインになる見通し」とした。市関係者は「市長の参加の意欲は強く、状況が変わる可能性があると考え様子を見ていたが、やむを得ない」としている。

 市は、首長会議としてオンラインでの発言機会を確保できるよう調整を続ける。NPTの加盟国に具体的な成果につながる議論を求める公開書簡を近く発表。政府関係者に被爆の実態を伝えるため会場での原爆ポスター展も予定する。

 関係者によると、広島県の湯崎英彦知事も渡米を見送る見通し。県は「オンラインでの参加を検討している」とした。

 再検討会議は5年に1度開かれ、加盟国が核軍縮の進展を検証する機会。昨年4~5月に開催予定だったが、新型コロナの影響で3度延期されていた。両市長は2015年の前回会議でもNGO枠で演説した。(明知隼二、宮野史康)

(2021年12月11日朝刊掲載)

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