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[こちら編集局です あなたの声から] 中国地方 市民の受け止めは

賛 弔辞で泣けた/偉大さ分かる

否 税金投入怒り/世論無視では

 国民の間で賛否が割れる中、27日実施された安倍晋三元首相の国葬。中国地方の有権者は「その時」をどう過ごし、何を感じたのか。編集局が同日、無料通信アプリLINE(ライン)で読者に受け止めを尋ねたところ、さまざまな意見が寄せられた。(久保友美恵、新本恭子)

 「菅義偉前首相の弔辞は字幕だけで泣けた」。広島市南区の会社員男性(63)は勤務中のためスマートフォンの音を消して中継映像を視聴し「国葬をやって良かった」と振り返った。

 テレビ中継を見るために有給休暇を取った人も。安佐南区の会社員女性(62)は「近くに献花する所がないので自宅で安倍さんにお礼を言った」。広島県海田町の配達業男性(73)は自宅前に弔旗を掲げ「多くの人が献花に訪れていることからも安倍さんの偉大さが分かる」としのんだ。

 平日の昼間だけに、日常の仕事に影響したケースもあった。小売業の顧客サービス部門に勤める中区の会社員男性(52)は「『国葬中になぜ電話をかけてくるのか』とのクレームが怖いので、仕事の電話をしにくかった」と明かす。

 国葬を巡っては報道各社の今月の世論調査で、反対意見がいずれも過半数を占めた。「国民の声が無視された」「税金の無駄遣いでは」との冷ややかな意見がこの日も目立った。

 国葬が行われた時間帯に、ハローワークにいた中区の主婦(55)は「半年がかりでやっと新しいパートを見つけた。一生懸命働いて支払う税金が国葬のようなイベントに使われるのは腹立たしい」。同時間帯に老人集会所で体操をしていた中区の主婦(75)も「年金で1人暮らしだと家賃や光熱費を払って残るお金は2万円ほど。国葬よりもっとするべきことがあるのでは」と不満を口にした。

 中国地方の街頭でもあった反対デモにも賛否が交錯した。島根県のパート女性(66)は「なぜあのような亡くなり方をした人を静かに送ってあげられないのか」。一方で中区の会社役員女性(71)は「国がデモを排除するようになったらおしまい。デモが起きるうちはまだ未来があると、少し安心した」と受け止めた。

 岸田文雄首相(広島1区)への評価も分かれた。福山市の自営業女性(66)は岸田首相の弔辞を「言葉から偽りのない思いが伝わってくる」と聞き入った。東広島市の男性(70)は「首相は政治的な意図で国葬を強行した。丁寧な説明と言う割には中身がなかった」と批判した。

(2022年9月28日朝刊掲載)

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