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弔意やデモ 入り交じる 中国地方 安倍元首相国葬

 安倍晋三元首相の国葬があった27日、中国地方各地で、追悼と抗議の動きが入り交じった。テレビ中継を見守ったり記帳所を訪れたりする人がいる一方、街頭では反対を訴えるデモが続いた。国葬への賛否に揺れてきた世論を、そのまま映し出した一日となった。

 広島県熊野町の三村裕史町長は、町長室で国葬のテレビ中継を見守った。2018年7月の西日本豪雨で被災地の視察に訪れた安倍氏をしのび「町としては復興に尽力いただいた。弔意を表したい」と悼んだ。

 松江市のJR松江駅構内の大型テレビ前でも、多くの市民たちが中継に見入った。市内の会社役員、実金(みかね)操さん(72)は「首相を最長期間務め、外国との関係を構築した功績のある人。いろいろな意見はあるが、無事に開催されて良かった」と受け止めた。

 福山市議会は定例会最終日の本会議で、午後1時40分ごろ、出席した市議や市幹部で黙とう。共産党などの一部市議は退席した。自民党県連が広島市中区の事務所前に設けた記帳台では、市民たちが名前を書き込み、手を合わせていた。

 片や、この日も抗議活動が相次いだ。広島県原水協が加わる市民団体などは広島市中区で街頭集会を開催。団体側によると約140人が参加し、「国葬は憲法違反」「反対します」などとアピールした。マイクを握った県被団協の佐久間邦彦理事長(77)は、安倍氏が核兵器禁止条約の批准に後ろ向きだったとして「被爆者の気持ちを全く理解しようとせず、情けない思いをしてきた。国葬には反対だ」と強調した。

 府中市の市民団体は市内2カ所で街頭集会を開き、「国民への説明が不十分」「国葬の法的根拠がない」などと訴えた。岩国市のJR岩国駅前にも市民ら25人が集い「弔意の強制は許されない」と声を張り上げた。

(2022年9月28日朝刊掲載)

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