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広島の7市町 半旗掲げず 安倍氏国葬 自治体対応分かれる 山口 県と19市町全て掲揚

 安倍晋三元首相の国葬があった27日、広島、山口県内の自治体では弔意を示す半旗の掲揚を巡り対応が分かれた。広島県内は県と16市町が掲げた一方、約3割の7市町が半旗にしなかった。山口県と県内19市町は全て実施。半旗にしない方針だった山陽小野田市も周辺市町の対応を見て急きょ合わせた。職員に黙とうを呼びかけた自治体はなかったが、呉市は国葬で黙とうが始まったタイミングを庁内放送で周知した。

 1週間前の20日時点の中国新聞の取材に対し、国葬当日に庁舎に半旗を掲げるとしたのは両県のほか、広島県内23市町のうち府中町など4町、山口県内19市町のうち岩国市や柳井市など9市町にとどまっていた。

 広島県内では、世論調査で国葬への反対意見が多数を占める状況に「社会情勢や世論を見極めたい」として「検討中」などとした15市町のうち広島市や福山市など12市町が実施。庄原市など3市町は「国からの要請はない」として対応しなかった。雨のため広島市は本庁舎での半旗の掲揚を中止したほか、広島県も本庁舎に約30分間掲げた後、取り外した。

 山口県内では「検討中」だった9市町全てが半旗を掲揚した。当初「掲揚しない」としていた山陽小野田市は「県や周囲の市町の対応を勘案した」などとして、午前10時過ぎに急きょ半旗に変更した。

 国葬を巡り、政府は当日に各府省庁で半旗掲揚し、職員に黙とうを求める方針を決めた。一方で「弔意の強制につながる」との批判を踏まえ、地方自治体や教育委員会には同様の対応を要請していない。

 職員への黙とうの呼びかけは広島、山口両県内の全自治体が「個人の自由な意思を尊重する」などとして実施しなかった。

 ただ、呉市は国葬の進行に合わせて「ただいま黙とうが始まりました」と本庁舎の職員向けに放送で知らせた。総務部や企画部がある4階フロアではほとんどの職員が仕事の手を止めて起立し、目を閉じていた。

 新原芳明市長は「西日本豪雨災害後に市内の被災地に2度来ていただき、丁寧に被災者に対応していただいた。黙とうをしたい人が国葬に合わせてできるようにした」と説明した。

 学校現場への半旗の呼びかけは、この日までに山口県教委が「県教委として哀悼の意を表すため」として県立学校に半旗掲揚を通知した。県内の市町教委にも参考情報として周知した。ただ、このほかに広島、山口両県内で半旗掲揚を求めた教委はなかった。

(2022年9月28日朝刊掲載)

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