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夢声の原爆小説 緩急自在に朗読 広島で活弁士の片岡さん

 「話芸の神様」と称された無声映画の活動写真弁士、徳川夢声(1894~1971年)が著した原爆小説「連鎖反応 ヒロシマ・ユモレスク」を国内外で活躍する活弁士の片岡一郎さん(44)=東京都=による朗読で聞く催しがカフェ「ハチドリ舎」(広島市中区)であった。

 被爆直後から市内をさまよい歩いた主人公の目に映る光景を、極限状態での虚無感をにじませ描写した作品。夢声の親友で移動演劇「桜隊」隊長だった新劇俳優、丸山定夫の原爆死が創作の契機とされ、被爆から5年後の50年に発表した。

 約1時間の上演中、片岡さんは緩急自在な語りで30人余りの観客を夢声の短編小説の世界に引き込んだ。戦争を題材に欧米で製作された約110年前の無声映画も活弁付きで上映した。

 落語愛好者の市民でつくる「広島で生の落語を聴く会」が主催した。3年余りの活動休止を経て、今回の「朗読と活弁の夕べ」で再始動。上村里花代表は「話芸を通じて、埋もれた作品なども含め知ってもらう機会を広島で増やしたい」と話している。

(2022年10月3日朝刊掲載)

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