×

ニュース

避難の親子らに響け平和の音色 廿日市市内 ウクライナ支援へ相次ぎ演奏会 住民団体あす大野で計画 山陽女学園中・高は8月開催

 ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナから廿日市市に避難してきた親子たちを、チャリティーコンサートで支援しようとする動きが市内で相次いでいる。山陽女学園中・高等部は8月に開催。大野地域では住民団体が2日に計画している。(八百村耕平)

 現在、ウクライナから廿日市市に避難しているのはペレペリーツァ・ブラジミルさん(63)と長男のヤロスラブさん(39)の2人。首都キーウ近郊の都市から4月、三女オールガさん(36)を頼って来た。ブラジミルさんは溶接を請け負い、ヤロスラブさんは日雇いのアルバイトをこなすが、日本語が話せないため仕事は限られているという。

 同校は5月、市を通じて支援を申し出た。8月に吹奏楽部など四つの部活による入場無料のコンサートを市内で開催。来場者に2人を支援する寄付を呼びかけた。集まった7万円は9月21日、代表の生徒4人が市役所でブラジミルさんに手渡した。マンドリン部の平石愛菜(あいな)部長(17)は「広島に来て良かったと思ってもらえたらうれしい」と話す。

 今月2日午前10時からは、市民有志でつくる実行委員会が大野東市民センターでコンサートを開く。太鼓グループなどが出演し、県内に避難してきたウクライナ人への寄付を募る。ブラジミルさんたちも招く。

 ブラジミルさんは、今でも空襲を知らせるサイレンや爆撃の音が脳裏に残っているという。当初の避難地として想定していたスペインで別れ、その後ウクライナに戻った妻と娘の心配も尽きない。それでも「広島の人の優しさに触れると一瞬でも戦争のことを忘れられる」と感謝している。

(2022年10月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ