×

ニュース

原爆症新基準 爆心地から2キロ 原則認定 心筋梗塞など厚労省が検討

 原爆症認定制度の見直しを進めている厚生労働省は12日までに、がん以外の主な病気を認定する新たな基準を、自民党の議員連盟の要請内容を踏まえる方向で調整に入った。心筋梗塞や肝炎・肝硬変などについて、爆心地から約2キロ以内の被爆者を原則認定するといった案などを検討している。

 現行基準では、がんや白血病を含む七つの病気について、爆心地から約3・5キロ以内で被爆などの条件で積極認定することにしている。ただ、うち心筋梗塞など四つの病気に関しては、さらに「放射線起因性(原爆放射線と病気との関連性)がある」などの要件を設けている。このため、距離によっては「放射線起因性が認められない」と認定申請を却下される被爆者も多く、訴訟が相次いでいる。

 厚労省の有識者検討会が4日にまとめた最終報告では、放射性起因性を「分かりづらく、見直しが適当」と指摘。新たに距離などの基準を設けるよう提言し、司法判断との隔たりを縮める必要性を示した。

 これを踏まえ、自民党の「被爆者救済を進める議員連盟」は10日、放射線起因性を要件から削除し、心筋梗塞などは爆心地から約2キロ以内の被爆で認定するなど7項目の具体策を決議。制度見直しに反映させるよう厚労省に求めていた。

 厚労省によると、心筋梗塞などを2キロ以内で認定すると、全体の認定者数は予算ベースで年間約3600人から約4400人に増える。年230億円程度の関連予算は、約50億円増額するという。

 厚労省の新たな認定基準案は、認定審査を担う16日の被爆者医療分科会で示される予定。委員から異論が出なければ同日中に決定する。(藤村潤平)

(2013年12月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ