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「核なき世界」問われる本気度 岸田政権発足きょう1年

 岸田文雄首相が政権をスタートさせてから4日で節目の1年。被爆地広島選出の政治家として「核兵器のない世界」を掲げ、機運醸成の場として来年5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の地元開催を決めた一方、歴代政権と同じく核兵器禁止条約に背を向ける。広島から火が付いた「政治とカネ」問題でも改革の本気度が問われる。

 3日召集された臨時国会の所信表明演説に、核軍縮・不拡散の思いを盛り込んだ。日本の首相では初出席した8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議。ロシアの反対による決裂を「遺憾」としながらも、11月に広島で開く国際賢人会議に希望を寄せ「核兵器のない世界に向けた現実的な歩みを進める」と誓った。広島サミットの腹づもりも重ねて口にした。

 ウクライナに侵攻したロシアが核兵器を威嚇に用いたことで首相の言動は耳目を集める。足元の被爆国で起きた米国との核共有論は非核三原則を盾に否定。一方で、核兵器禁止条約の締約国が6月に開いた会合にはオブザーバー参加せず、「核の傘」を提供する米国への配慮をにじませた。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と国会議員のつながりで実効性が問われるのが、自民党が5月に策定したガバナンス・コード(統治原則)だ。元をたどれば、2019年参院選広島選挙区の大規模買収事件など「政治とカネ」問題の反省から生まれた。党総裁の首相が改革の旗を振りながらも、当選無効となった国会議員に歳費返還を義務付ける改正法案は国会提出に至っていない。(中川雅晴)

(2022年10月4日朝刊掲載)

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