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救護被爆者 原告以外で初手帳 広島市

■記者 東海右佐衛門直柄

 広島市が、救護被爆者としての被爆者健康手帳交付をめぐる訴訟の敗訴を受け、原告以外では初めて、従来の基準を満たさない女性に手帳を交付したことが26日、分かった。市は新たな基準を策定中だが「判決が示した要件を満たしている」と判断した。

 市援護課によると、市内在住の70歳代の女性で、入市被爆対象とならない場所の国民学校で約2週間、救護活動にあたった。2007年11月に手帳交付を申請し、市は「1日10人以上を救護したことが証明できない」と2008年7月に却下。女性は翌月に再申請していた。

 3月25日の広島地裁判決は「1日10人以上」の救護・看護を要件とする市の審査基準の不合理性を指摘した。市は控訴を断念して原告に手帳を交付。原告以外の申請者についても検討を進めてきた。

 女性は、当時100人以上の被爆者が収容されていた場所で約2週間救護に従事しており、市は「原告以上の被爆が認められる」と判断。今月25日に手帳を交付したという。

 市によると、判決後の4月~6月25日の救護被爆者の認定申請は51件と昨年4月~6月の3・6倍。援護課は「救護所などに一定期間以上いたことが確認できれば、判決を踏まえ今後も交付する」としている。

 市は新基準の策定へ向け、広島県、長崎県・市と元原告の被爆した場所の閉鎖性や広さなどを分析中。今後、元原告の弁護団や厚生労働省の意見を踏まえて指針を策定する。

(2009年6月27日朝刊掲載)

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