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支援プロジェクト発案-ウクライナから広島へ 2組の姉妹 思いつながる ともに10代 地場企業も賛同

 ロシアの侵攻を受けるウクライナから10代の姉妹2人が戦火を逃れて広島市で暮らしている。呼び寄せたのは市出身で同じ10代の姉妹が提案した支援プロジェクト。賛同の輪は広がり、多くの企業が受け入れに協力している。9月下旬から滞在するウクライナの姉妹はいま、心の平穏を取り戻しつつある。(服部良祐)

 姉妹はファジリャ・ボロジナさん(19)とマリアさん(18)。医師の母親と首都キーウ(キエフ)で暮らしていた。広島に住む母親の知り合いから避難民支援プロジェクト「The Path to Peace」を紹介され、9月26日に来日し、翌日に広島入りした。当面、市内に滞在する。

 「自宅周辺はロケット弾で攻撃され、公園や地下鉄の駅が破壊された」と振り返るファジリャさん。キーウの大学で建築学を専攻する。オンラインで勉強を続け「日本の建築や自然をよく見てみたい」。「支援してくれる広島の皆さんには感謝している」と話すマリアさんは就職や就学について考えていくという。

 母親は現地に残った。2人は原爆ドーム(中区)を訪れ、平和への思いを新たにした。ファジリャさんは「戦争が終わり、ウクライナも広島のように復興してほしい」と願う。

 プロジェクトはいずれも米国留学中で中区出身の児玉遥加さん(19)と実優さん(17)の姉妹が今夏、発案した。ウクライナから避難民を受け入れ、広島で自立した生活を送れるよう渡航費や家賃を含む生活費、仕事探しなどさまざまなサポートをする仕組み。企業の協力や寄付で成り立っており、オタフクホールディングス(西区)やマンション開発のマリモホールディングス(同)など地場企業十数社が賛同している。

 1組の避難がかない、実優さんは「10代でも声を上げ、行動し、実現できることがある。多く人の役に立ちたい」と力を込める。

 プロジェクトでは一般からの寄付も受け付けている。窓口はhttps://sites.google.com/view/thepathtopeace/

(2022年10月6日朝刊掲載)

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