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原発事故 土壌汚染は 鳥取 ウクライナ研究者が講演

 ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナから鳥取市に避難し、同市の公立鳥取環境大で研究を続ける土壌研究者のユリア・メドベージェワさん(27)が4日夜、市内でチェルノブイリ原発事故による土壌の放射能汚染をテーマに講演した。

 ウクライナ北部の同原発で1986年4月に起きた事故では、試験中の4号機の放射性物質の25%が放出されたとされる。国内の森林286万ヘクタールのうち汚染が基準値以下の安全地域は現在、72%まで増えたが、キノコや野生動物など林産物の汚染が深刻で、食べ物を通じた内部被曝(ひばく)が続いているという。

 メドベージェワさんは「農地の除染は進んだが、森林は経済的に見合わず放置されている。住民への危険性周知や採取制限が必要だ」と指摘した。侵攻後は「東部ドンバス地域から原発近くの集落に避難した人が多く、庭の作物を食べる人もいる」と懸念した。

 東部ハリコフの国立科学センター土壌科学・農業化学研究所の博士課程の学生だったメドベージェワさんは6月に避難。「日本でも原発事故があった。科学的知見の交流を進めたい」と意欲を述べた。講演は同大主催の避難民支援に関する講演会の中で行われ、学生や市民約120人が聞き入った。(小畑浩)

(2022年10月6日朝刊掲載)

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