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市民守る責任 連帯を 広島で19日開幕 平和首長会議を前に ウクライナ・スラブチチ市長に聞く

核持たぬ国 保護訴え

 広島市で19、20日にある平和首長会議(会長・松井一実広島市長)の総会を前に、加盟都市でウクライナ北部スラブチチ市のユーリー・フォミチェフ市長(46)が6日、中国新聞のインタビューにオンラインで応じた。同国へ侵攻を続けるロシアが核兵器の使用を示唆する中、「核の脅威から市民を守るために首長たちの連携が必要だ」と訴えた。(小林可奈)

  ―ロシアのプーチン大統領による「核の脅し」をどう受け止めていますか。
 ロシアの脅しに私たちはあまりに慣れてしまった。ただ、広島の惨状が示すように核兵器の恐ろしさは分かっている。ロシアが使用すれば、核兵器を持たない国が核攻撃を受ける、私たちが核兵器を放棄してはいけなかったと証明される。核兵器を持たないと防衛できないという結論になってしまう。核兵器保有国が核戦争を止めないといけない。

  ―市の人口は約2万1千人で、侵攻前から約4千人減りました。被害は。
 侵攻が始まった2月24日から6日間、電気が使えなかった。医療品や食料品も届かなかった。近くのチェルノブイリ原発は侵攻開始直後にロシア軍に制圧された。市へは3月23日にロシア軍から「降伏すれば都市に危害を与えない」と要求があった。私は兵士200人を市外に案内した際に手を後ろに縛られて一時拘束された。「軍人はいない」とロシア側に示し、市への軍事介入を回避できた。

  ―ロシアはウクライナ4州を一方的に併合したとしていますね。
 ロシアが言っただけで、ウクライナが決めたわけではない。違法だ。

  ―都市の首長が核兵器廃絶へ連帯する意義をどう考えますか。
 核兵器の犠牲になるのは市民だ。首長は市民の命を守る責任がある。市民にとって大統領の存在は遠く、声が届きにくい。核兵器の脅威から守り、国に働きかけるためにも、首長同士の連帯が必要となる。

  ―来年に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、世界のトップたちに何を期待しますか。
 「核兵器のない世界」の実現はいま、現実的ではないように見えるかもしれない。だからこそG7は世界に向け、核兵器廃絶の道を歩んでいくというアピールが必要だ。G7は非保有国を核の脅威から責任を持って守るというメッセージを発信するべきだ。

(2022年10月7日朝刊掲載)

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