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防衛費増 歳出減を優先 自民・宮沢税調会長インタビュー 状況次第で増税議論も

「人への投資」 法人税優遇に意欲

 自民党の宮沢洋一税制調査会長は14日、中国新聞のインタビューに応じ、防衛費増額の財源確保に向け国の歳出削減を優先するよう訴え、状況次第で増税を議論する可能性を示した。2023年度税制改正では、成長分野のスキルの学び直しを支援する「人への投資」を企業に促すため法人税の優遇に意欲をみせた。

 宮沢氏は「まず防衛費の中身の議論が大事だ。防衛費を優先するとすれば、相対的に必要性の低い予算をどう削るかという議論は当然やらなければならない」と主張。厳しい財政を踏まえ国債に頼らないのが望ましいとし「その(議論の)段階で初めて、財源の税をどれぐらい確保できるかの議論になる」と述べた。

 仮に増税を検討する場合は「安全が確保されるなら負担は仕方がないと思っていただけるかが必要」と、国民の理解を得る重要性を説いた。防衛費増額に伴う消費税増税は否定した。

 岸田文雄首相が経済政策「新しい資本主義」の柱に据える「人への投資」に関しては、「日本が成長する国に変わっていくと思ってもらうのに必要なのが人材だ」と強調。高度なIT人材などを育てる企業を対象に「人への投資減税を実現したい」と語った。

 年末に向けた税制改正の議論では、株式の売却益などへの金融所得課税の強化も焦点だ。今の税制は総所得が1億円を超えると税負担率が下がる傾向がある。宮沢氏は「議論しないといけない課題だ。大きな資産を持つ人たちの税負担が低い問題がある」と述べ、金融市場への影響も含め総合的に検討するとした。

 首相が掲げる「資産所得倍増プラン」の柱である少額投資非課税制度(NISA)にも言及。42年末まで年間最大40万円を投資でき、20年間非課税の「つみたてNISA」について「投資に縁がなかった人には良い制度」と語り、投資上限や非課税期間の拡充を議論する意向を示した。

 利用が低迷するローカル鉄道の維持に向けた税制も注目される。国土交通省は、自治体出資の管理会社が線路や駅舎を従来の事業者から引き継ぐなどする際、固定資産税を減免する仕組みを要望している。宮沢氏は「税でいろんな応援ができればいい。今回の税制改正でしっかり議論する」と語った。(境信重)

(2022年10月15日朝刊掲載)

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