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生き抜くことの尊さ 伝えたい 音楽劇「チンチン電車と女学生」 広島で来月上演

戦時下 広電支えた少女の青春

 戦時中、路面電車に運転士や車掌として乗務した女子学生たちを描いた音楽劇「チンチン電車と女学生」が11月21~23日、広島市中区のJMSアステールプラザである。寮母役を演じる俳優河合美智子(54)は「過去を知り、未来に伝える大切さ、生き抜くことの尊さを感じてほしい」と語る。(木原由維)

 劇団往来(大阪市)が広島電鉄の路面電車開業110周年に合わせ、広島で7年ぶりに上演する。1943年に始まる物語。電鉄会社が設立した家政女学校に集まった女子学生たちが、運転士や車掌になるための訓練に励む。戦時下で制約の多い青春を懸命に生きるさなか、8月6日の朝を迎える。史実に基づくフィクションで、堀川惠子、小笠原信之の同名著作を原作とする。

 河合が演じる寮母「遠藤先生」は、戦時下の女子学生たちを心身ともにサポートする。自身、2016年に脳出血を患い、約半年間の入院を経て「チンチン電車と女学生」東京公演で舞台復帰した。作品に対する思い入れは深く、今回初めて広島公演に臨む。「病気を受け入れることで世界が広がり、心の引き出しも増えた」と河合。「被爆を体験した観客もいるかもしれない。そう思いながら、ごまかさずに演じきる」と誓う。

 21、22日は午後6時半開演。23日は午後0時半と5時半開演。5千円。劇団往来制作部☎080(6148)8152。

(2022年10月15日朝刊掲載)

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