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旧陸軍被服支廠「保存を」 市民団体講演会 被爆建物の意義強調

 広島市南区出汐にある被爆建物の旧陸軍被服支廠(ししょう)の保全を考える講演会が15日、中区の原爆資料館東館であった。来年2月設立予定の市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」(仮称)の準備組織が開き、約100人が参加した。

 広島大大学院工学研究院長の杉本俊多教授(建築学)は「街の歴史、進化を目に見える形で残すことが、平和都市をデザインする上で重要だ」と指摘。「被爆建物は戦前の広島の姿を伝える『都市の遺伝子』で、世界にアピールする力がある」と保存を訴えた。

 建築士の山下和也さん(56)=南区=も「見て触れられる被爆建物は、記憶を次代に伝え、想像力を引き出す道しるべとなる」と意義を強調した。

 被服支廠は1913年完成の鉄筋3階建て4棟。耐震補強の工事費がネックとなり、現在は空き家で県が管理している。

 懇談会は、被服支廠で被爆した元動員学徒や原爆資料館職員たちが発起人となる予定。準備組織代表の中西巌さん(83)は「被爆70年も意識し、市民の声を結集したい」と話している。(馬場洋太)

(2013年12月16日朝刊掲載)

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