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谷本清平和賞にANT渡部さん 被爆の実態 世界に発信

 公益財団法人ヒロシマ・ピース・センター(広島市佐伯区、鶴衛理事長)は14日、第34回谷本清平和賞に中区のNPO法人「ANT(アント)―Hiroshima」理事長の渡部朋子さん(68)=安佐南区=を選んだと発表した。核兵器使用の懸念が強まる国際情勢を踏まえ、被爆の実態を世界に伝え続けた活動を評価した。

 渡部さんは1989年、前身の「アジアの友と手をつなぐ広島市民の会」を設立して代表に就任。2007年にANTに改称し、現職に就いた。広島で被爆して10年後に12歳で亡くなった佐々木禎子さんの絵本を33言語に翻訳し、各国・地域に配布。被爆者の証言を映像や冊子などで記録する活動にも取り組んできた。

 受賞理由では「国内外の人々と友情や連携を深め、実践を積み重ねてきた」と評された。渡部さんは「ヒロシマの地を深く掘ることによって、この世界の不条理を知った。国内外の多くの仲間と、核のない平和な世界を目指して歩み続ける」と話している。

 センターは被爆者支援に尽くした広島流川教会(中区)の故谷本清牧師の遺志を継ぎ、87年に平和賞を創設した。世界平和の実現に向けて活動する個人や団体に贈っている。贈呈式を11月13日に中区で開く。(宮野史康)

(2022年10月15 日朝刊掲載)

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