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官邸で被爆者配慮要望 広島・長崎市長 原爆症認定見直しで

 原爆症認定制度の見直しをめぐり、広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長は16日午前、首相官邸を訪れ、加藤勝信官房副長官と面会した。国の有識者検討会の最終報告に基づく新たな基準案が同日午後に示されるのを前に、高齢化した被爆者に寄り添う方向での見直しを求める安倍晋三首相宛ての要望書を提出した。

 広島市議会の熊本憲三副議長と長崎市議会の板坂博之議長が同行。両市議会からも、今なお病気に苦しむ被爆者への最大限の配慮を求めた。

 要望書では、新たな基準を適用した場合に認定範囲が現状より広がるよう申し入れた。さらに、科学的知見の必要性を踏まえた上で「科学の限界を被爆者援護施策の限界と捉えることは適当でない」と訴えた。

 新たな基準の基になる最終報告については「(委員間で)意見の一致が見られず、行政と司法の乖離(かいり)が十分に埋まらない内容で、大変残念」と批判した。

 松井市長は要望書を提出後、官邸内で報道陣に「加藤官房副長官からは、新基準で制度を運用しながら問題点を検証すると言われた。高齢化した被爆者への配慮をお願いしたい」と述べた。

 新たな基準案は、認定審査を担う厚生労働省の被爆者医療分科会で示される。委員から異論が出なければ16日中に決定する。(藤村潤平)

(2013年12月16日夕刊掲載)

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