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米大統領の被爆地訪問 実現へ期待感広がる 広島の被爆者ら

 米国のオバマ大統領による被爆地訪問の可能性を示唆したキャロライン・ケネディ米駐日大使の16日の発言に対し、広島では実現への期待感が広がった。一方、原爆投下を正当とする米国世論というハードルの高さを指摘する声も聞かれた。

 被爆者の岡田恵美子さん(76)=広島市東区=は、2009年の就任直後、オバマ大統領宛てに広島訪問を呼び掛ける手紙を出した。「いつか来てくれると信じていたので、実現に近づいてうれしい。直接会って、ノーベル平和賞受賞者として核兵器廃絶を早く実行してもらえるよう訴えたい」と期待を膨らませる。

 08年秋から09年にかけてオバマ大統領を広島に招くキャンペーンを展開した中国新聞ジュニアライター。メンバーだった大学1年大友葵さん(19)=東広島市黒瀬町=は「当時は夢のような話だった。少しでも早く来て被爆証言を聞いてもらい、日米の過去の和解が進めばいい」と願う。

 ただ、米国内では今も、原爆投下は正しかったとの意見が根強い。広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(国際関係論)は「既に2期目なので来たいとは思っているだろう。しかし支持率を気にして訪問の判断ができるかどうか」と指摘。「正当化をめぐる意見対立を起こさないよう、被爆の実相を見てほしいと広島全体で純粋に要請し続けることが大切だ」と話す。(二井理江、増田咲子)

(2013年12月17日朝刊掲載)

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